立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

apogeeの新曲「RAINDROPS」が3月23日にリリースとのこと。 apogeepoint ※ 44th music(CONDOR44改め)はもう二年近く活動無いですが、何かあったんですかね。 https://twitter.com/condor44_ppp

一、二、三、そして〈遊ぶ〉ことの奥義――『殊能将之未発表短篇集』(3)

(承前) かつて『Before mercy snow 田波正原稿集』(名古屋大学SF研究会、2013)を読んだ際、私はフィリップ・K・ディック『ヴァリス』論の次の一節に目が留まった。 たったひとつの言葉が気にかかる。本は『暗闇のスキャナー』、「作者のノート」。「なに…

一、二、三、そして〈遊ぶ〉ことの奥義――『殊能将之未発表短篇集』(2)

(承前) この本を最後まで読むと、作者は生活のために、前の三編のような短篇を量産しなければならなかったのではないか、という思いが多少なりとも誰の胸にも湧くと思う(失礼な言い方をお許しあれ)。しかし、現実にはそうはしなかった。依頼を断っていた…

一、二、三、そして〈遊ぶ〉ことの奥義――『殊能将之未発表短篇集』(1)

発売のアナウンスがあった時は「短篇が執筆されていたのか?」と目を疑ったけど、『殊能将之未発表短篇集』(講談社、2016)には短篇が三つと、私小説ふう日記エッセイ一つが収められている。短篇のうち、「犬がこわい」は犬恐怖症の男とその近所に現れた巨…

詳細は不明ながらnuitoの新作が出るらしく、新しい音源が上がっている模様。 ひらう on Twitter: "そろそろなので進捗報告・宣伝用にバンド垢つくりました https://t.co/68f6PdXPDJ" https://soundcloud.com/nuito-1 ファーストが2009年だから七年ぶりの新譜…

nemanocさんの「今週のトップ5」という形式はいっすね。なんか懐かしい感じで。http://proxia.hateblo.jp/entry/2016/02/15/080644※年が明けてからもなんとなく梶龍雄作品を立て続けに読んでるんですが、さすがに驚き慣れしてきた感じ。個人的ベストは今の…

そういえば昨年秋、Earth, Wind & the FireのSeptemberを久しぶりに聴いたら、イントロから印象的なギターフレーズが流れてきて驚いた。 Earth, Wind & Fire - September というのは、このフレーズがDon CaballeroのPalm Trees in the Fecking Bahamaに引用…

「これは推理小説ではない」

これまで何度か触れたことのある話題ですが、今回はもう少し詳しくまとめておきます。 ※ 解決編で登場人物が「これは推理小説ではなく現実なのだから……」といって、平々凡々な真相を示す作品の系譜というものがあります。そのセリフによって、トリックがショ…

続・「遠いファンタシーランド」を偽物化する――『殊能将之読書日記』

(承前) 「偽物」論がピークに達するのは、次の一節ではないだろうか。 ディクスン・カーの歴史ミステリをなんとなく読んでいる。わたしは西洋史にうとく、ずっと敬遠していたから、ほとんど初読である。 まず『ビロードの悪魔』(吉田誠一訳、ハヤカワ・ミ…

殊能将之短篇集の情報が公式でも発表されました。 http://kodansha-novels.jp/ https://twitter.com/admiralgoto/status/684577660991754241 2月11日発売 『殊能将之 未発表短篇集』 著者:殊能将之 ──デビューのころ書かれた未発表の短篇三作と「ハサミ男の…

あけましておめでとうございます今年もよろしくお願いします。 ※ 『美濃牛』に関する以下の話題をこちらには載せてなかったので、リンクを張っておきます。 ◯もし洞戸村の人が殊能将之の『美濃牛』を読んだら。 http://www.horado.com/modules/d3forum/index…

ドラマ「赤めだか」を見ていたら、その数日前にやっていた「黒蜥蜴」に比べるとさすがに面白かった。 ※ そういえばもう十年以上前、「爆笑オンエアバトル」に時々、落語家が出ていた。たいていは予選落ちになってしまうのだが、たまにオンエアされることもあ…

殊能将之短篇集が来月2月に出るという噂があるそうです。 https://twitter.com/flow2005yob/status/678865519299063808 「キラキラコウモリ」と「ハサミ男の秘密の日記」を併せるとたぶん100枚は超える(単行本で60頁くらい?)と思うのですが、他に長いコン…

nemanocさんの新ブログが爆誕。 http://proxia.hateblo.jp/ 私もそのうちはてなブログに変えようかしら。 ※ 講談社文芸文庫の金井美恵子自選短篇集が三冊揃った。 『砂の粒 孤独な場所で』 『恋人たち 降誕祭の夜』 『エオンタ 自然の子供』 あと10月刊の磯…

先日のこと、ある人が、ぼくにこうささやいた。作家Bさんは、やはり、すごい人だと思う。「あの人、ほら。決して、えらくならないでしょう」と。 そういえば、ある傾向のものを書かせたら右に出る人がいないと思われる存在である。名前も通っている。でもBさ…

「遠いファンタシーランド」を偽物化する――『殊能将之読書日記』

『殊能将之読書日記』が発売されて5カ月近く、版元のアナウンスでは少なくとも一度は重版されたそうだから、第二弾の可能性はありうるでしょう。 以前にも書いたように、この本は旧公式サイトの「reading」という原書を読んだ感想ページだけをまとめたもの…

媒体に掲載された殊能将之情報【暫定版】

ご本人のインタビューやコラムについては「生活は質素で、作品は冗談好き」さんが詳しくまとめられていますが、私も以前、他の人物によるセンセー紹介情報を集めてみようかなと思ったことがありました。 以下、その時つくったリストが出てきたので、載せてお…

梶龍雄ルネッサンスのために――『龍神池の小さな死体』

梶龍雄『龍神池の小さな死体』(講談社、1979) 乱歩賞受賞の『透明な季節』(1977)から数えると六冊目。いわゆるスリーピング・マーダーもの。時は大学紛争の季節。主人公の大学教授・仲城は、死に際の母から「戦時中に疎開先で溺死したお前の弟は実は殺さ…

よく意味がわからない言葉の一つに、「呼んだだけ」というのがある。名前を口にして相手が振り向いたら、「呼んだだけ」と返して終わる、アレである。一度くらい見聞きした経験があるでしょう。 あの一連のやりとりにいったいどういう意味があるのか。十年ほ…

昨日テレビで「刑事コロンボ 殺人処方箋」がやっていたので初めて観た。恥ずかしながらコロンボはほとんど観たことがなく、実に十年以上ぶりの視聴。以下は雑感。 ◯犯人が一人に絞られるため、フーダニットに比べキャラクター描写が詳しい。また作者対読者(…

石川美子『ロラン・バルト 言語を愛し恐れつづけた批評家』中公新書、2015。 バルト本を何冊も訳してきた人物が、200ページ強の分量で彼の人生をザッと駆け抜ける評伝で、非常にクリヤーな書き方で面白くアッという間に読んでしまう。 権力的であることを一…

夢。修学旅行か何かで海外をぶらぶらしていたら、自由時間中に遠くへ行き過ぎてしまう。早く戻らなければと焦っていると、昔会ったことのある裕福な家庭の婦人がヘリコプターへ乗り込むところに遭遇。目の前の休火山の火口の中へ入って抜け道をくぐればショ…

以下はnemanocさんのhttp://d.hatena.ne.jp/Monomane/20151024/1445703356を見て思い浮かんだこと。 ※ 西江雅之氏の遺作である新刊『写真集 花のある遠景』の帯裏に、ある方が解説に寄せた「本来、驚きというものは見出す側の内にある」という言葉が引かれて…

スマホのはてなダイアリーアプリが使えなくなってしまったので、しばらく滞ってました。 やっぱり新しいパソコン買おうかしらん。 ※ ペトロールズのファーストフルアルバムを買ったら、RADIO ONSEN EUTOPIAばりの大きさの三角ジャケット(しかも紙ジャケだか…

意識しないと見えないもの

カーの短篇集『不可能犯罪捜査課』を読んでいたら、三話目に「ホット・マネー」という、ポー「盗まれた手紙」ライクな趣向の話があった。探偵役のマーチ大佐がかなり自信満々なので期待していたものの、日本人にはチト馴染みづらいネタで、いささか期待が外…

「叙述トリック」についてのメモ(5)

「叙述トリック」と語りの構造 物語言説(ナラトロジー)関係の本をいろいろ見ると、作者と読者の関係は、だいたいこういうふうになっている。 作者−内在する作者−語り手−物語−聴き手−内在する読者−読者 もちろん様々な異見がありもっと詳しい場合もあるけれ…

「叙述トリック」についてのメモ(4)

文脈とキャプション 数年前、こういうコピペを見た。 俺、子供んときに近所の子にプロポーズしたことあるけど そのネタで小学校で「あいつが私にwぷぷぷ」って6年馬鹿にされ、 中学校で3年馬鹿にされ、高校でも3年馬鹿にされ 今だに夕食の時に馬鹿にされ…

「叙述トリック」についてのメモ(3)

作者と語り手 だいぶ間が開きました。雨続きですが、皆さんお元気ですか。見通しが立ってきたので、再開することにします。 この前からジョジュツ、ジョジュツといっていたが、そもそも小説にとって「叙述」とは何なのか。迂遠なようだけど、そのへんをこの…

例のエレベーター

ブックデザインにおいて装画と装幀は基本的に分かれている。 そして本というのはこれだけ出ているので、意図的にか偶然にか、別の本で同じ装画、というバッティングも時折ある。 たとえば、『夢野久作全集1』(1992年刊)と竹中労『琉球共和国』(2002年刊…

初秋と海と

海。 とたった一文字記すだけでなにやら私の中に潮が満ちてくるのを感じる。 二十歳になる前まではよく一人で渚へ出た。 人影のあることはほとんどなかった。 波打ち際に足の裏を向け両腕をだらしなく伸ばしたまま横に浮かんで水温二十度の海面から顔だけを…