TBCN

襤褸は着ててもロックンロール

俺はANATAだ

文学フリマで買った『幻影復興』という清涼院流水特集をした同人誌のオマケ冊子を読んでいたら、とても懐かしい気持ちになった。 東京流通センター――通称TRCの第2展示場、エスカレーターで2階に来たあなたは、チラシ置き場の脇を通り、数多くテーブルが…

藍川陸里さんの『探偵はその手を汚さない』(アミラーゼ、2017。私家版)を読みました。 これは北大推理小説研究会所属の方(来年卒業だとか)が今年書かれた(そして11月23日の文学フリマで頒布された)、黒岩涙香以来現在までの日本のミステリの歴史をたど…

クリスマスイブに『加藤郁乎俳句集成』(沖積舎、2000)をなぜかぶっ続けで読んでたらヘトヘトになってしまいました。 『立ち読み会会報誌』第一号改訂再版の追加内容は全部完成したので、あとは周辺情報が固まりしだいここに書きます。

ジェルジ・リゲティの『グラン・マカーブル』

ジェルジ・リゲティのオペラ『グラン・マカーブル』は、『黒い仏』を再読する上では欠かせない作品であるが、日本語で読めるものとしてはたぶん以下の資料が詳しいのじゃないかと思う。 * 全編のテクスト(日英対訳)としては、巻末文献にも挙げられている…

そういえばピエール・ド・マンディアルグの短篇『満潮』は私はアルフォンス・イノウエの挿画が入っている奢灞都館の普及版(正方形くらいのかたちのうすい仮フランス装のもの)で読んだんですが、これは若い男が少女を騙くらかしてひと気のない海辺に連れて…

ジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』

ジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』(安藤元雄訳、白水uブックス、1989)。上京した夜に初めて買った本だから、九年近く前か。裏の見返しに「500円」というシールが貼ってあるが、この古書店ももうない。グラック28歳のデビュー作で、1938年刊。は…

このミステリ評論が読みたい!

今、こういうミステリ評論があったら読みたい。 ◯社会派推理小説入門:「社会派」の定義、語源、発展と衰亡ないし拡散までの歴史とブックガイド。必然的に「本格冬の時代」についても扱う。 ◯叙述トリック入門:「叙述トリック」の定義、語源、発展と衰亡な…

il miglior fabbro

「私にまさる妙手」は寿岳文章訳の『神曲』だよ、と昨日教えていただいたので、ついでに調べてみました。 「il miglior fabbro」とはダンテ『神曲』煉獄編第26歌(117行目)の語句だが、これはどういう意味か。作中でダンテが自身よりおよそ一世紀前に活躍し…

「『私にまさる妙手』に敬意を込めて」について、

そういえば、なぜいきなりエリオットの『荒地』の話題をしたのか、このブログには書いていなかったので、わかりづらかったかもしれない。 というのは、『立ち読み会会報誌』第一号を加筆修正するために調べ物をするうち、私は積年の謎、すなわち『美濃牛』冒…

中村光夫『藝術の幻』

蔵書整理のために本棚をいじっていたら以前集めた中村光夫の本がいくつか出てきた。中村光夫という人の著作は私は金井美恵子のエッセイから入ったのだが、これまでは読んでも意識が言葉の表面をつるつると滑ってゆく感じで、なかなかとっかかりを見つけるこ…

ローレンス・スーチン編『フィリップ・K・ディックのすべて』

フィリップ・K・ディック著/ローレンス・スーチン編『フィリップ・K・ディックのすべて ノンフィクション集成』(飯田隆昭訳、ジャストシステム、1996)を読んだ。微妙なタイトルだが原題はThe Shifting Realities of Philip K. Dick: Selected Literary an…

たとえばポップミュージックにおいて、日本語だとこなれない表現も英語だとストレートにいえる、という事態がある。仮に「ラブアンドピース」という語を思い浮かべてみる。なぜ「愛と平和」だと(なんか違う)ということになってしまうのか。なぜアルファベ…

アーサー・シモンズ『完訳 象徴主義の文学運動』

T・S・エリオット『荒地』からの流れで、アーサー・シモンズ『完訳 象徴主義の文学運動』The Symbolist Movement in Literature(山形和美訳、平凡社ライブラリー、2006)を読んだ。エリオットは学生時代、この本でジュール・ラフォルグを知ったことから重要…

『立ち読み会会報誌』第一号についてのその後の情報

文学フリマでの販売以来、おかげさまで好評いただいております。 お読みくださった皆様、ありがとうございます。 本日、文学フリマ東京で入手した本で、一番、面白かったのはやはり孔田多紀『立ち読み会会報誌第1号 特集:殊能将之(その1)』です。インタ…

梶龍雄『浅間山麓殺人推理』

梶龍雄『浅間山麓殺人推理』(徳間文庫、1988/『殺人への勧誘』光風社ノベルス〉、1984の改題)読み終わり。これはいつもとは趣向が変わっていて、枠物語ふうになっている。冒頭、浅間の山荘に集められた男女五人がいきなり銃で狙撃される。彼らはみな、殺…

なぜかはわからないのだが、自分が中高生くらいのころに若手として何冊か書いていた日本の作家の小説を突発的に読み返したい衝動に駆られている。竹野雅人とか引間徹とか清水博子とか。作品数が少いから(未収録ものも含めて)、全部読んだらここに何か感想…

『立ち読み会会報誌』第一号通販情報

書肆盛林堂さんに通販委託をお願いしました。 seirindousyobou.cart.fc2.com ※ 申し訳ないですが、早々に売り切れてしまったようです。チト検討させて頂きます。。。

『立ち読み会会報誌』第一号の訂正

以下、気づいた個所を順次掲載していきます。もしご存知の方がいらっしましたら、ご教示いただけますと幸いです。 * 【巻頭インタビュー 磯達雄氏に聞く】p22 〈孔 そういえばついこの前、『黒い仏』が出てすぐの頃の新聞に、この下にある丸善丸の内本店の…

御礼

昨日の東京文学フリマへの出店、無事終了しました。来てくださった皆様、ありがとーございました。 印刷所に頼んだブツは開場前に初めて見たんですが、パラパラめくって不備は少なかったものの、理想と現実の大きなギャップにウウウと頭を抱えていました。そ…

続・文学フリマについて

先日の予告の内容が固まってきたので、再度書いておきます。 【日時】 2017年11月23日 11時~17時 【場所】 東京流通センター 第二展示場 2F ウ‐40 【サークル名】 立ち読み会 【頒布物】 『立ち読み会会報誌』第一号(特集・殊能将之〔その一〕) 【内容】 …

文学フリマについて

そういえば↓で予告したように今度、2017年11月23日東京開催の文学フリマに出ます。 11月23日の東京文学フリマに「立ち読み会」名義で参加しますhttps://t.co/iQzCwEp0de(2Fのウ-40)頒布物は殊能将之先生の『ハサミ男』『美濃牛』『黒い仏』についての読書…

ネタバレについて2017

【はじめに】 このブログでは二、三年に一度ほど、いわゆる「ネタバレ」という問題について、自分の思うところを述べてきました。というのは、「ネタバレ」への批判、およびその過剰な批判への反批判について、巷間、コンフリクト(摩擦)が起こっているのを…

LUSTMORDの夜

昨晩、文庫版『ラヴクラフト全集』をパラパラめくりながら、気分を高めるためにスマホでLUSTMORDという人の音楽を聴いていたら、急にすべてのアプリが画面から消えて使えなくなってしまった。それだけでも怖いのだが、なんと再起動さえできない。ただ音楽が…

「memo」におけるロス・マクドナルド関連記述

11月23日の東京開催の文学フリマに出展する予定で、殊能将之センセー関連のあれこれをいま、読み返しています。 するとそのうち、自分がかつてここで 読書日記ページ「reading」は原書の紹介がメインで、邦訳された本の感想については、通常の日記ページ「me…

宿野かほる『ルビンの壺が割れた』(書籍版)を読んだ話

宿野かほる『ルビンの壺が割れた』の書籍版が出ていたので、読んでみました。内容についての感想は、キャンペーン版から特に変わらないのですが……。 新潮社は「波」というPR誌を毎月発行していて、そこに今月号(2017年9月号)は、 [宿野かほる『ルビンの壺…

再説・走馬灯

ある方から教わり、ギャビン・ブライアーズの「Jesus Blood Never Failed Me Yet」(イエスの血は決して私を見捨てたことがない)という曲を聽く(有名な曲らしいので、検索してみてください)。 この曲は成り立ちが複雑であるので、ここでちょっと説明する…

占いの思い出

anatataki.hatenablog.com そういえば今年の一月ころ、生まれて初めて「占い」というものを紹介されて体験しました。 それはタロット占いでした。わたしはタロット(都筑道夫ふうにいえばタロー)が実際にはどういうものかもよくわからない状態だったのです…

宿野かほる『ルビンの壺が割れた』(キャンペーン版)を読んだ話

ひと様の思惑に乗せられるのはなんだかシャクではございますが……一応記録としてここにも書いておきます。 ※ 7月14日(金)に突如こういうキャンペーンが始まりました。 www.shinchosha.co.jp 「キャッチコピーが書けない」、などというカマトトを信じるピュ…

このブログに長らくお付き合いいただいている方ならご存知の通り、やるやる詐欺の多いわたくしですが、そろそろ何か同人誌にでもまとめてみようかなとおもっていることがあります。そのためにはちょっとヘヴィーな関門があるのですが、たぶん宣言しないと腰…

この数年、五月頃になると不調気味になることが多く、今もアンマリなんですが、だんだん上向いてくる気分がないこともないので、とりあえずボチボチ活動していきたいなあとおもっています。ワッショイ!