立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

雑談

 下賀茂神社で毎年開かれている古本祭に行った。
 正直、今熱心に探している本はあまりないのだが、ズラーッと並んだ店を見ると、なんとなく探す気が起きる。
 200円均一コーナーで、中村光夫『近代の文学と文学者』(1978、朝日新聞社)、吉田知子『天地玄黄』(1971、新潮社)は買い、で、金井美恵子『愛の生活』筑摩書房版は汚いのでよす。
 サークルの友人が集英社ラテンアメリカ系に強い世界文学全集を買い集めているので、海外方面はそちらにまかすか、と思うが、クルティウス『読書日記』(1973、みすず書房)を見ると、買ってしまう。800円。坪内祐三『私の体を通りすぎていった雑誌たち』(2005、新潮社)の紹介で知っていただけだが、<これほどに広大な視野をもった批評家がいったいどこにいただろうか?>(裏表紙)と書かれると、興味を惹かれざるをえない。1951〜1952年に新聞に書き継いだ連載で、ドイツの当時の知識人の状況について書いてあるとか……。
四日目に再度参戦。
 文庫コーナーは興味のないものが多いので、もっぱら単行本コーナーを漁る。またしても中村光夫、今度は『老いの微笑』(1985、筑摩書房)だ。ビニールのかかった美装で500円は良いなあ。『日本の現代小説』(1968、岩波新書)や前述の本をパラパラ読んだ時は気づかなかったのだが、中村光夫、歴史的かなづかいだったのか。
 この本は金井美恵子がよくエッセイで引き合いに出す本だ。『老いの微笑』によると、中村光夫は老齢で朝早く起きてしまうようになると、ジョギングを始めたという。でも自分はジョギングは嫌だ……。という感じ。
 100円コーナーを見ると、百目鬼恭三郎『現代の作家一〇一人』(1975、新潮社)があったので手に取る。百目鬼恭三郎は、もちろん、匿名書評家「風」として知られた元朝日新聞記者の評論家である。しかしいつも思うのだが、凄い名前だよなあ。こんな記者に取材されたら、やってないことまで白状しちゃいそうだよ。いかにも睨みのきいた評論家っぽいぞ。
 あとは鮎川哲也のアンソロジー『戦慄の十三楽章 音楽ミステリ傑作選』(1986、講談社文庫)、ジョイス・ポーター『案外まともな犯罪(ホン・コンおばさんシリーズ)』(1977、ハヤカワ・ポケット・ミステリ)など。後藤明生『小説は何処から来たか―20世紀小説の方法(叢書L'ESPRIT NOUVEAU)』(1995、白地社)はまだ新刊で手に入るのでパス。ロブ=グリエ『快楽の館』は……カバーなくても200円なら良いか。
 しかし吉岡書店良いなあ。安いし、本がきれいだし。庄野潤三の未文庫化の単行本も300円くらいで、辻邦生の本や新潮の戯曲シリーズなんかもなかなか揃っていたよ。次回も注目しよ。

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