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立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

雑談 雑談

サークルの皆様方が年間ベストを出しているので、私も読んだ本から年間ベストを出してみる。
書評誌とかだと「2008年の収穫」とかになるのだろうか。
なぜ「収穫」というのだろうか……。
基本、今年出た本だが、去年出たものも。

小説
飛鳥部勝則『堕天使拷問刑』(早川書房)盗作騒動で沈黙していた作家の2年ぶりの復活作。これは良いです。非常に。真相が小ぶりかなあ……とも思いましたが。もっともっと書いて欲しい。
高原英理『陣野悪五郎只今退散仕る』(毎日新聞社千野帽子氏のブログから。かなり軽いジュブナイル小説で、200頁ちょっとくらいしかない。シリーズになれば良いんだが。しかし、千野氏の文章からの先入観もあるだろうが、主人公の豪胆な少女の妹が言う、お姉ちゃんは駄目な人のことがわかってないよ、いつも運が悪い人は、うつむいているよ、という台詞は、グッとくるなあー。
ペレーヴィン『チャパーエフと空虚』(群像社)これは保坂和志氏の「小説をめぐって」の連載で知った。めちゃめちゃ期待した分、ちょっとガッカリした部分もあるんだが、基本的には面白い妄想小説です。映画化されるそう。
・木村紅美「月食の日」(『文学界』5月号)あ、この人、結構意地悪だったんだなあ、と思った。30くらいの妻が自宅をノーブラで歩き回って、夫に注意されたら「セクシーでしょ」と開き直るシーンとか、イヤさ満載。芥川賞候補になったのでビックリ。盲人を描いたのが大きいのか。こういう線でいけばもしかしたら獲るのかも。
向井豊昭『怪道をゆく』(大田出版)いや、もうスンゲー超面白い最高、というわけではなく、かったるく感じる部分もあるのですが。最後の本ということで……。(そういや、『早稲田文学』第二号に載った遺作の「島本コウヘイは円空だった」は、死の間際に見た幻覚を書き留めてもらったということだが、確かにフツーに読んだら意味がわからない。池田氏の追記が、また泣けます)
小説でない
金井美恵子『昔のミセス』(幻戯書房)8月に出た本だが、あとがきで読むと体調が心配される。片目は手術して眼帯で、もう片方も軽い白内障らしく、「だ、大丈夫ですか……」と言いたくなる。煙草もやめてしまったそうだ。去年の秋に愛猫のトラーをなくされてからというもの、グッと体力を落とされたように(文章からは)感じられる。「過老」と書かれているのだが、まだ60歳ではないですか、という気もするし……。
・田中達治『どすこい出版流通』(ポット出版)筑摩書房復活の立役者が書店向け内報に連載していたエッセイをまとめたもの。筑摩書房がより身近に感じられました。何より、ものの言い方から見える著者の人柄が、気持ちの良い人だ、とうかがえる。
開高健 編『たばこの本棚』(ぶんか社文庫)青銅社から1979年に出たアンソロジーの文庫復刊。ぶんか社からこういう本が出ているとは思わなかった。十返肇の妻の十返千鶴子古井由吉早乙女貢畑正憲東郷青児など、幅広い人選のエッセイ19編に芥川などの短篇5編。読むと煙草が吸いたくなります。坪内祐三の「この文庫本を狙え!」で取り上げられてもおかしくないのでは? と思ったんですがねー、やっぱり煙草みたいな話題だと、取り上げにくのだろうか。



私も他の皆様のように20くらいパッと取り上げたかったんですが、とりあえず思いつくのはこれくらいでございました。去年は後半から読書メモを取るのをやめてしまったので、皆様が「うーん、今年は何冊読んだな」と明確に数えられているのは羨ましい限りです。今年は取ります。