立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

1980年代の福音館書店

最近はロクに本も読まずに、適当な引用・感想で逃げてばかりですが、今回も逃げます。(いやホント、土岐眠君のマメさは凄いわ……)

唐突だが、漫画のタンタン・シリーズが大好きだ!
貴方はご存知だろうか? タンタン。
フランスの新聞連載漫画で、青年記者のタンタンが事件を追って世界を飛び回るシリーズだ。小学校の頃、図書館にこのシリーズがどーんと入っており、夢中になって読んだ。今の私が超常現象だの何だの、オカルトっぽいものにやけに興奮するのも、この本が下地になったと言って嘘ではないはずだ。学生の頃、「就職活動が終わったら、自分へのご褒美に、タンタン・シリーズ全巻か『大西巨人文選』全巻かどっちかを買ってあげよう」と思ったほどだ。(結局、どちらも買ってないままだが)

最近、日本でのタンタン・シリーズ発行元の福音館書店が発行していたペーパーの「タンタンタイムズ」の1号から7号までを発見したので、「おっ!」と思い、楽しく読んだ。読者からの感想・イラストはもちろん、内容に関する記事もある。「タンタン・グラフィティ 1920年代から現在まで世界各国で出版されたタンタンの冒険旅行シリーズご紹介」などの回顧的・資料的なもの、「書き文字屋さん(←漫画の擬音の文字などを日本語版にする際に書く人か)大いに語る モジモジ人生/大川おさ武 ききて:米山博久」などの内輪ネタっぽいもの、「飲むなら行くな?アルコールとイスラム国家」など幼少の読者の勉強になりそうなもの……など。
なかでも、紙面のタイトルのすぐ下にある自己紹介文(?)が興味深かったので、ここに書き記したい。
・「この新聞はタンタンの冒険旅行シリーズを愛読する熱心な励ましの声とご要望にお応えしてやむなく発行するものです」1号(1985年10月)
・「この新聞は「タンタンの冒険旅行シリーズ」を愛する読者のみなさんの熱烈な圧力に屈してやむなく発行するものです」2号(1985年10月)
・「この新聞はタンタンの新刊を待ちのぞむ読者のみなさんの情熱的ヨイショ!に耐えきれず臨時増刊号として発行するものです」3号(1986年12月)
・「この新聞はタンタンの冒険旅行シリーズを愛する読者のみなさんの熱烈なアンコールに悪のりして性こりもなく発行するものです」4号(1987年3月)
・「この新聞はクリスマスまでにタンタンの新刊をお届けできなかったスタッフ一同が平身低頭しつつ臨時増刊号として発行するものです」5号(1987年12月)
・「この新聞はタンタンタイムズの仕事がライフワークとなりそうなスタッフ一同が将来をうれいつつヤケッパチで発行するものです」6号(1988年4月)
・「この新聞は「次号はぜひクリスマスまでに」という読者の無理難題を奇跡的にクリアしたスタッフが最後の力をふりしぼって発行するものです」7号(1988年12月)
なんか週刊少年漫画誌的ノリではなかろうか。
このペーパーが何号まで出ていたのかはわからないが、シリーズの翻訳が完結したのは2007年の暮れだった。完結を記念して、壁に並べて飾ってあるフェアがやっていたのを書店で見て、私は小学校卒業以来すっかり忘れていたタンタン・シリーズを思い出し、懐かしさに胸が熱くなり、そして驚いた。「今まで翻訳終わってなかったのか!」と思った。そのしばらく後、近所に「タンタン・ショップ」があるのを見つけると、走った。
週刊少年漫画誌よろしく、この「タンタンタイムズ」にもたまに、「編集後記」「タンタンタイムズ編集部スタッフの素顔」として、編集長以下スタッフが最後に顔を出す。
今はどうされているのだろうか。
書店に本を確かめに行ったら、何号まで出ているのか判るのかもしれないが……。