立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

九月に読んだもの

倉阪鬼一郎『不可能楽園〈蒼色館〉』『八王子七色面妖館密室不可能殺人』講談社ノベルス
前者は『四神〜』以降、館ものと毎年交互に刊行されていたバカミスシリーズかつ上小野田シリーズの最終作。もっと出ているような気がしていたが、三作目。後者とともに暗号ものだが、仕掛け過ぎと思えるほど過剰な操作にはさすがにボーゼンとする。『八王子〜』は予想外の「イイ話」ぶりにビックリ。
原田実『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』星海社新書
私が「江戸しぐさ」について知ったのは二、三年くらい前で、ネット上ではすでに水伝などと同じく原則的にヨタ話として語られていたと思うけれど、やはり紙の文献=具体的なマテリアルとしてまとめられることは喫緊だったのだろう。189ページの章まとめ三行分は編集ミスか。
大田俊寛『現代オカルトの根源 霊性進化論の光と闇』ちくま新書
上の原田著で江戸しぐさはオカルト、という記述があったので、積んでいた本書を一気に通読。確かに江戸しぐさのやりくちはオカルトにソックリだ。ブラヴァツキーから幸福の科学まで、ダーウィンの進化論に対抗して登場した「霊性進化論」について要領よくまとめられているから、アンチョコとしては良いのかもしれない。
飯吉光夫『パウル・ツェラン ことばの光跡』白水社
ツェランの翻訳を手がけてきた人物が、長年にわたる関連論考をまとめたもの。『鏡の中は日曜日』再読のためということもあったが、ツェランの死去すぐの時期に書かれた冒頭の追悼文からしばらく、涙なしには読めなかった。

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