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立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

例のエレベーター

雑談

ブックデザインにおいて装画と装幀は基本的に分かれている。
そして本というのはこれだけ出ているので、意図的にか偶然にか、別の本で同じ装画、というバッティングも時折ある。
たとえば、『夢野久作全集1』(1992年刊)と竹中労琉球共和国』(2002年刊)。


これはどちらもちくま文庫なので、同じ文庫レーベルで被って大丈夫なのだろうか、と思ったことがある。

最近はよく、規定の料金を支払えば自由に使っていい、というストックサイトがよく利用されている(特に翻訳ものなどで)。
先日、アマゾンのサイトを覗いていると藤本ひとみ『鎌倉の秘めごと』(文春文庫、2006年刊)がサジェストされ、(この絵はどこかで見たことがあるなあ)と思ったら、D・M・ディヴァイン『兄の殺人者』(創元推理文庫、2010年刊)だった。


『兄の殺人者』は正面からだが、『鎌倉の秘めごと』は斜めの構図になっている。同じ絵をトリミングしたのだろう。(ただし『鎌倉の秘めごと』は2012年リリースのキンドル版オリジナル装幀らしく、元の文庫版ではまったく違うらしい
というようなことをつぶやいたら、中町信『暗闇の殺意』(光文社文庫、2014年刊)もそうであるとのご指摘をいただいた。

こちらは以前にも見たことあるものの、レイアウトが変わっているので気づかなかった。
これだけ絵が共通しているということは、検索すればストックサイトで元の絵が見つかるだろう。
それでグーグル画像検索してみると、やはりgettyimagesなどに登録されていた
海外でもこの絵は使われているらしい。
DOLOROSOというグループの2006年のシングル。

イタリアのMondadori社が2007年に刊行したラヴクラフト全集の一冊では、全体を暗くしてある。

イタリアではPiero Degli Antoniという人のTi porterò nel buioという今年出たばかりのスリラー小説でも使われているらしく、これはなんと左側に新しく女性の写真(?)を付け加えていた。


私が簡単にグーグル画像検索で気づいたのは以上ながら、たぶん他にもあるでしょう。
ストックサイトには大量の絵や写真があるものの、やはりピンキリ。海外でもラヴクラフトやスリラー小説に使われているから、エレベーターの誘うような怪しい雰囲気と明暗が、複数のデザイナーに強く訴えたのだろうか。
つい、「例のエレベーター」と呼びたくなってしまいますね。