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立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

ぼさのば

外出から帰って部屋の窓から遠い山の稜線に陽が沈むのを眺めていると、ふとジョアン・ジルベルトが聴きたくなって、それで久しぶりに、たぶん一年ぶりに、(ジョアンってまだ存命だよね……)と不安に駆られ、慌てて検索してしまった。

このところ、わたしが思春期のころすでにレジェンドとされていた人たちがぽつぽつと世を去りだしている。でもジョアンについては特に聞いた覚えがないしな……と思っていたら、やっぱり生きていた。でも1981年生まれで今年85歳だから、高齢ではある。

2003年に初来日したとき、一時間遅刻したとか、会場のエアコンが彼の希望でオフにされたとか、アンコールの際ステージ上で20分も固まって急死を疑われた、という噂を雑誌で読んだ。

翌年にその初日の模様を収めたコンサート盤が出た。田舎の高校生だったわたしはお金もなく、視聴コーナーでいっしょうけんめい(あんまり占拠すると迷惑だから何回かに分けて)聴いたとおもう。あのころは早くおかねが自由に使える大人になりたいとかそういうことしか考えていなかった。アホーだった。

そんなことをつらつら思い出していたら、壁掛けの小さなスピーカーから「三月の水」が響いてきた。