立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

ハサ医師アンソロの宣伝

 笹木志咲紫さん主宰のハサ医師アンソロジーに参加しました。

 これは何かというと、要は『ハサミ男』の「ハサミ男」と「医師」をメインにした二次創作アンソロジーです。他の方がどういうものを書かれているのか、全く存じ上げないのですが、私は5000字くらいのショートショートで参加しました。タイトルは「辺鄙な土地(OUTSIDE WORLD)」です。

 三ヶ月くらい前に書いたんで、いま読み返してみると、小ネタと自分の解釈を勢いに任せてぎゅうぎゅうに詰め込んだ感じで、わかりにくいところもあるかと思います。それを全部説明しようとすると、たぶん三倍の1万5000字くらいになってしまうと思うので、今回タイトルについてだけ触れます。

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ハサミ男』の本文中、「辺鄙な土地」という語は一度だけ登場します。それは語り手の「わたし」が喫茶店「おふらんど」の店主と会話する部分です(この言葉の意味については以前、詳しく書きました)

 「ひとつだけ質問していいですか」
「なんでしょうか」
「〈おふらんど 〉って、どういう意味なんですか 。辺鄙な土地、かな」
「なるほど、〈オフ・ランド〉ですか。そういう解釈は初めて聞いたな。はやらない店には、そのほうがふさわしいかもしれない」
 店主は感心したように笑って、
「じつはフランス語なんですよ。〈捧げ物〉という意味です」
 わたしにとって、店主から得た情報は、欲しくもない捧げ物だった。(第「17」節)

 つまり「辺鄙な土地」というのは(自分で言ってしまうと)「捧げ物」という意味です。tributeです。

 では副題というか英題の「OUTSIDE WORLD」は何かというと、これはもちろん、XTCの『Drums and Wires』の10曲目のタイトルです。11曲目が「Scissor Man」なので、(これも自分で言ってしまうと)「Scissor Man」の前日譚というつもりです。

 以下、寄稿の冒頭部分です。

――She can't hear what's going on In the outside world(XTC「OUTSIDE WORLD」)


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 高校生だった当時、わたしはまだ鷹番を「たかつがい」と呼ぶのだと思っていた。
 その日、わたしは学校からの帰り道を歩いていた。鞄には、頼まれて図書館から借りた大きな本が二冊も入っているので、重たいことこの上ない。
 一冊は小説で、トレーシングペーパーのカバーにうっすらと下の地が透けている。女性の顔の上に「L'offrande au néant」という文字が浮かび、金で箔押しされた文字が夕暮の日射しを浴びてきらきらと光を返す。もう一冊は詩集で、岩肌のような箱にオレンジ色の表紙の固い一冊が納まっている。
 この二冊の内容はどういうものか? それぞれの帯に書いてある言葉をここに引用してみよう。(……)

  以上、宣伝です。

 よろしくお願いします。

 

[追記]

 現在、BOOTHで通販もされているようです。

booth.pm