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襤褸は着ててもロックンロール

TOOL@K-Arena Yokohama 11/12/2025①

もう三か月も前のことになるが来日したTOOLの公演を見に行った。
本当はすぐにその時のことをここに書こうと思ったのだが、あまりのインパクトのため、それを消化しきれず、こんにちに至ってしまった。
以下、そのことを書く。

チケット購入までのこと

TOOLは経歴・実力・売上などあらゆる面で世界的にトップクラスのバンドであり、カルト的にはまる信者も多いが、実は私はそれほどはまっていたわけではなかった。
最初に聴いたのは3作目の『Lateralus』(2001)がリアルタイムだったが、CDも一枚も持っていない。
しかし2019年に私がいちおう批評家として商業デビューしたということになっている「蘇部健一は何を隠しているのか?」という論考を書いた際、両者の試みを比較して「蘇部健一はミステリ界のTOOLである」(逆にいえば、TOOLは音楽界の蘇部健一である)という意味のことを末尾に記したことがあった。
であれば、この珍しい機会(単独では2007年以来、フェスを入れれば2013年以来)を逃す手はないのではないか?
と思い、申し込もうとしたら、チケット代にびびった。
https://www.creativeman.co.jp/artist/2025/12tool/
なにしろ、ピンキリで二倍以上の開きがある。
加えて、私はこれまでフェスを除けば最大で武道館クラス(5000人〜1万人)の会場にしか行ったことがない。
K-Arena横浜は最大2万人らしいので、どのような規模が想像ができない。
それだけ広ければどうせ売り切れることはないだろうし、とウダウダするうち、申し込み締め切りは何度か過ぎてゆき、結局三次先行でSS指定席にした。売れ残りの心配は当初からファンの間に出ており、実際当日まで低価格席はソールドアウトにはならなかった。
予想通りすんなりと席は確保できた。
が、結果的にこれは失敗だった。

2019年のこと

中学生の頃に出た『Lateralus』以来、私がTOOLに再注目したのは、2019年に13年ぶりとなる5枚目のアルバム『Fear inoculum』が出たのがきっかけだった。
それまでストリーミング解禁されていなかった過去作が解禁され、一方で凝りまくりの新作パッケージも話題になった。
(パッケージの様子は↓など)
https://youtu.be/qj2AXS5YcRU?si=YgTQRQvSkP0Fmms_
ところが新作の評価は世間的に二つに分かれた。
プログレッシブ化を進めた結果、インタールードを除く実質的な楽曲6曲はいずれも10分超で、わかりやすくポップな盛り上がりに欠ける。
リリース時、このアルバムを何十回か聴いた私の評価も同様だった。
といっても、相対的には好みだった。
ちょうどそのアルバムリリースの頃、自分が2019年初めに新人賞に投稿した論考が同年末に掲載(といってもすでに電子雑誌に移行していた)されることが決まった。
私は改稿過程で上記の通り、半ば冗談のようにTOOLの名前を書き加えた。
2019年のこのアルバムがなければ、私は年末掲載の自分の論考にTOOLの名前を出すこともなく、そしてその経験がなければ、2025年のこの公演に行くこともなかったと思う。

当日までのこと

チケット代を払い込んだ後で、私はTOOLの過去作を初めて真剣に聴いた(2万円を無駄にするわけにはいかない)。
数は限られているので、そう大変ではない。
Tool discography - Wikipedia
客観的に見れば、やはり3作目の『Lateralus』から楽曲の全体的な長大化が始まっている(以前からその傾向はあったが)。
よく囁かれるのは、これはボーカルのメイナード(1964年生まれ)の声の衰えを埋めるためではないか、というものだ。
実際、彼の他プロジェクトであるPusciferやA Perfect Circleなどを聴いても、高音でのシャウトは減ってきており、一理あると思う。
私は今年の他公演のセットリストを確認しながら、来たる曲目を推測した。
https://www.setlist.fm/setlists/tool-2bd6d836.html
ちなみに、横浜公演後、2日後の神戸公演との間に「TOOLが同一国内で連続公演を行う時は曲目を変える」というウワサがネット上で流れた(結果的に同じセットリストだった)。
↑のセットリストを眺めるとわかるが、それは誤りで、「同一会場で連続公演を行う時は曲目を変える」が正確だと思われる。
(2025年11月~12月のニュージーランド、オーストラリア公演を参照あれ)

(続く)