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襤褸は着ててもロックンロール

2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『殊能将之読書日記』が刊行されるそうです

前回紹介した殊能将之氏の公式サイトを基にした本が、『殊能将之読書日記 2000-2009 The Reading Diary of Mercy Snow』というタイトルで6月11日に発売されると先週、予告が出ていました。 「katsukura」前号が刊行情報のおそらく初告知となった本書について…

矢部嵩は天才である。(5)――『〔少女庭国〕』

1 卒業式の日、女生徒たちが会場へ向かう長い廊下を歩いていると、ふいに見知らぬ部屋で一人眠っていた自分に気がつく。壁には何やら指令書のようなものが貼り付けられており、「死亡した卒業生」なる不穏な言葉が見受けられる。どうやら、自分たちはここに…

矢部嵩は天才である。(4)――『魔女の子供はやってこない』

四年ぶりの長篇 第三作『魔女の子供はやってこない』(角川ホラー文庫、2013)は、前作『保健室登校』(同、2009)からちょうど四年ぶりに刊行されました。技巧と物語が高度に洗練されたこの小説は、おそらく矢部嵩的世界の現時点での頂点を極める作品で、私…

矢部嵩は天才である。(3)――『保健室登校』

冒頭の描写から 矢部嵩的世界においては、殺人や人体損壊などの残虐かつグロテスクな行為が登場人物にアッサリ受け入れられる場面が少なくない。それを記述する場合、われわれの「日常」において「平易な文章」として通じるものとは異なる書き方が必要なのは…

三月に読んだもの

坂木司『青空の卵』(創元推理文庫) 十年ほど前から散々噂を聞いていたが、確かにキュンキュンする個所多し。ところで、各編の扉裏のポエムは良いとしても、末尾に白ページが2ページ続いたりするのは、いったいなぜなのだろう? 麻耶雄嵩『名探偵 木更津悠…