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襤褸は着ててもロックンロール

殊能将之

「殊能将之」と『楚辞』

以下に掲出するのは、第28回東京文学フリマで頒布した有料ペーパー「T B C N海賊版v o l.2 特集・殊能将之(その二)余滴」に載せた記事です。『立ち読み会会報誌』第二号の責了後に、 「そういえば〈殊能将之〉って〈特殊な才能で軍勢を率いる〉という意味…

名古屋SFシンポジウム2019

名古屋SFシンポジウム2019が9月28日(土)、椙山女学園大学で開催されます。名古屋SFシンポジウム2019、詳細が決定致しました。開催は一ヶ月後。無料でどなたでも参加できるトークイベントです。今年はSFの枠を飛び越えて幻想小説、アメコミ、ミステリにせま…

文学フリマ東京参加についての情報

次回の文学フリマ東京に出店しますので、お知らせいたします。 【日時】2019年5月6日 11時~17時 【場所】東京流通センター 第一展示場 オ‐23 【サークル名】立ち読み会 【頒布物】『立ち読み会会報誌』第二号(特集・殊能将之〔その二〕) (既刊『第一号(…

『集英社世界文学大事典』『あしながおじさん』

『集英社世界文学大事典』(集英社)→全六巻。一九九六‐九八年刊。一~四巻が人名、五巻が事項、六巻が索引、という大冊。これも本文中に指標がないので、『フィネガンズ・ウェイク』と並ぶ特定難易度かも。さすがに全部読み通すのは無理なので、まず世界文…

『立ち読み会会報誌』第二号の表紙(予定)

気が早いですが、『立ち読み会会報誌』第二号の表紙(予定)です。 前回同様、地にイメージを置いてフォントをいじっただけですが……。

島尾敏雄「勾配のあるラビリンス」/アンドレ・ジッド「テセウス」

今日は『美濃牛』です。 * 島尾敏雄「勾配のあるラビリンス」(『島尾敏雄全集・第二巻』所収、晶文社)→島尾敏雄には私小説や戦争小説のほか、夢で体験したことを再構成したような幻想小説の一群がある(ずーっと書き綴っていたという夢日記ノートをネタ帳…

『ハイネ散文作品集』(松籟社)

『立ち読み会会報誌』第二号は『ハサミ男』『美濃牛』『黒い仏』の「参考・引用文献特集」の予定ですが、文フリまで全然時間がないことが判明したので、とりあえず「こういう感じで書いてます」というサンプルと草稿代わりを兼ねて、取り急ぎまとめたものを…

ハサ医師アンソロの宣伝

笹木志咲紫さん主宰のハサ医師アンソロジーに参加しました。 9月23日東京流通センター(TRC)【奇想館 第六篇】にサークル参加します! https://t.co/tr7SlLzdDqハサ医師アンソロで絶対最高の平成にしような pic.twitter.com/SRWZBXZj0n — 咲紫:9/23U01 (@sasa…

結城昌治『公園には誰もいない』(講談社文庫)

(承前) 結城昌治『公園には誰もいない』は、私立探偵・真木三部作の二作目。和製ハードボイルドの傑作として名高いこのシリーズの最高傑作に挙げる声もある(個人的には一作目『暗い落日』の方が好み)。 前作『暗い落日』が、ロス・マクドナルド『ウィチ…

『子規全集』(講談社)

(承前) 『ハサミ男』の巻末の参考文献はけっこういいかげん、というか、あるいは、おそらくわざと曖昧に書かれている。実際に元にあたろうと思ったら、いくつかハードルがあることは否めない。 たとえば、 『子規全集』(講談社) 1975年から78年にかけて…

ピエール=ルイ・マチユ『象徴派世代』(窪田般彌訳、リブロポート)

同人誌の感想はいくつかいただいたんですが、nemanocさんの〈孔田さんは(……)必要な文献をていねいにあたり、フィードバックして、複雑な殊能世界をときほぐしていきました。〉 という過分な言を目にして、そういえば参考文献について、スペースの関係でい…

ポー、カー、メナール、アルテ

◯ある方の示唆で松田道弘「新カー問答」を読んでいたら、カーが初期のバンコランものでフランス人を探偵役に、パリを舞台にしたことを「エキゾチシズム」と評していたのが印象に残った。というのは少し前に、ボルヘスの文章でポーがデュパンものをパリに設定…

ジェルジ・リゲティの『グラン・マカーブル』

ジェルジ・リゲティのオペラ『グラン・マカーブル』は、『黒い仏』を再読する上では欠かせない作品であるが、日本語で読めるものとしてはたぶん以下の資料が詳しいのじゃないかと思う。 * 全編のテクスト(日英対訳)としては、巻末文献にも挙げられている…

il miglior fabbro

「私にまさる妙手」は寿岳文章訳の『神曲』だよ、と昨日教えていただいたので、ついでに調べてみました。 「il miglior fabbro」とはダンテ『神曲』煉獄編第26歌(117行目)の語句だが、これはどういう意味か。作中でダンテが自身よりおよそ一世紀前に活躍し…

「『私にまさる妙手』に敬意を込めて」について、

そういえば、なぜいきなりエリオットの『荒地』の話題をしたのか、このブログには書いていなかったので、わかりづらかったかもしれない。 というのは、『立ち読み会会報誌』第一号を加筆修正するために調べ物をするうち、私は積年の謎、すなわち『美濃牛』冒…

文学フリマについて

そういえば↓で予告したように今度、2017年11月23日東京開催の文学フリマに出ます。 11月23日の東京文学フリマに「立ち読み会」名義で参加しますhttps://t.co/iQzCwEp0de(2Fのウ-40)頒布物は殊能将之先生の『ハサミ男』『美濃牛』『黒い仏』についての読書…

「memo」におけるロス・マクドナルド関連記述

11月23日の東京開催の文学フリマに出展する予定で、殊能将之センセー関連のあれこれをいま、読み返しています。 するとそのうち、自分がかつてここで 読書日記ページ「reading」は原書の紹介がメインで、邦訳された本の感想については、通常の日記ページ「me…

一、二、三、そして〈遊ぶ〉ことの奥義――『殊能将之未発表短篇集』(5)

『殊能将之読書日記』を読み返していて、瀬戸川猛資の死去と殊能将之のデビューがほぼ同時期であることに思い当たった。以下、そのあたりのことをおさらいしてみる。1999年3月16日、瀬戸川猛資が肝臓ガンにより死去。「メフィスト」編集部が座談会で『ハサミ…

一、二、三、そして〈遊ぶ〉ことの奥義――『殊能将之未発表短篇集』(4)

(承前) 夢と現実のはざまに生きる者だけが、真摯に夢を、現実を生きようとするのだ。(「空耳通信1 押井守あるいは半分は予感でしかない通信」/『Before mercy snow』所収) 単なる三人称でも一人称でもない、その二つの「はざまに生きる」言葉について考…

一、二、三、そして〈遊ぶ〉ことの奥義――『殊能将之未発表短篇集』(3)

(承前) かつて『Before mercy snow 田波正原稿集』(名古屋大学SF研究会、2013)を読んだ際、私はフィリップ・K・ディック『ヴァリス』論の次の一節に目が留まった。 たったひとつの言葉が気にかかる。本は『暗闇のスキャナー』、「作者のノート」。「なに…

一、二、三、そして〈遊ぶ〉ことの奥義――『殊能将之未発表短篇集』(2)

(承前) この本を最後まで読むと、作者は生活のために、前の三編のような短篇を量産しなければならなかったのではないか、という思いが多少なりとも誰の胸にも湧くと思う(失礼な言い方をお許しあれ)。しかし、現実にはそうはしなかった。依頼を断っていた…

一、二、三、そして〈遊ぶ〉ことの奥義――『殊能将之未発表短篇集』(1)

発売のアナウンスがあった時は「短篇が執筆されていたのか?」と目を疑ったけど、『殊能将之未発表短篇集』(講談社、2016)には短篇が三つと、私小説ふう日記エッセイ一つが収められている。短篇のうち、「犬がこわい」は犬恐怖症の男とその近所に現れた巨…

続・「遠いファンタシーランド」を偽物化する――『殊能将之読書日記』

(承前) 「偽物」論がピークに達するのは、次の一節ではないだろうか。 ディクスン・カーの歴史ミステリをなんとなく読んでいる。わたしは西洋史にうとく、ずっと敬遠していたから、ほとんど初読である。 まず『ビロードの悪魔』(吉田誠一訳、ハヤカワ・ミ…

殊能将之短篇集の情報が公式でも発表されました。 http://kodansha-novels.jp/ https://twitter.com/admiralgoto/status/684577660991754241 2月11日発売 『殊能将之 未発表短篇集』 著者:殊能将之 ──デビューのころ書かれた未発表の短篇三作と「ハサミ男の…

あけましておめでとうございます今年もよろしくお願いします。 ※ 『美濃牛』に関する以下の話題をこちらには載せてなかったので、リンクを張っておきます。 ◯もし洞戸村の人が殊能将之の『美濃牛』を読んだら。 http://www.horado.com/modules/d3forum/index…

殊能将之短篇集が来月2月に出るという噂があるそうです。 https://twitter.com/flow2005yob/status/678865519299063808 「キラキラコウモリ」と「ハサミ男の秘密の日記」を併せるとたぶん100枚は超える(単行本で60頁くらい?)と思うのですが、他に長いコン…

「遠いファンタシーランド」を偽物化する――『殊能将之読書日記』

『殊能将之読書日記』が発売されて5カ月近く、版元のアナウンスでは少なくとも一度は重版されたそうだから、第二弾の可能性はありうるでしょう。 以前にも書いたように、この本は旧公式サイトの「reading」という原書を読んだ感想ページだけをまとめたもの…

媒体に掲載された殊能将之情報【暫定版】

ご本人のインタビューやコラムについては「生活は質素で、作品は冗談好き」さんが詳しくまとめられていますが、私も以前、他の人物によるセンセー紹介情報を集めてみようかなと思ったことがありました。 以下、その時つくったリストが出てきたので、載せてお…

ゲンロンカフェのイベントhttp://togetter.com/li/851931、なぜか開始時間を終了時間と勘違いしてしまい、一時間遅刻してしまった。 せっかくなのでタイムシフトで見ようかなあと思うものの、パソコンも持っていないような人間なので、どうやって視聴すべき…

『殊能将之読書日記』が発売されたそうです。

『殊能将之 読書日記 2000-2009 The Reading Diary of Mercy Snow』をようやく入手。やっと出た! 本文以外にも解説や索引や考課表が80頁くらいあって豪華。情報量と元手を考えればかなり安いほうじゃないかなあ。 ※ さっそく法月綸太郎解説を開いたものの、…