TBCN

襤褸は着ててもロックンロール

2013-01-01から1年間の記事一覧

【記録シリーズ14】シンパシー

宮沢賢治の有名な「雨ニモ負ケズ」にこういう一節がある。 東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ 南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ 北ニケンクヮヤソショウガアレバ ツマラナイ…

「ハサミ男の秘密の日記」に関する推測

admiralgotoさんがまとめられたTogetter「殊能将之『ハサミ男の秘密の日記』を読まれた方の反応」を、なぜか勝手に更新させていただく(僭越ながらまとめさせていただいた皆さん、無断ですみません)。 作家の死後、消失した公式サイトの内容の復活や、友人…

Paradiseの新譜

Paradiseの新譜が今月リリースされるらしい。 知ったときは驚いた。前作で初めて聴いて、それ以来ちらちらと情報を追っていたんだけど、活動は必ずしも順風満帆ではなさそうだったから。むしろ苦しそうな印象があった。それが引き続き二枚組の大作でやってく…

1999年4月――「ハサミ男の秘密の日記」を読んだ

早朝に目が覚めたので、ニュースをいろいろ眺める。参議院は夜中もやっていたらしい。すごいな。結局、二時間ほどボーっと時間を潰してしまう。 ※ 昼休みに昨日発売だったという「メフィスト」2013年第三号を入手。さっそく、殊能将之「ハサミ男の秘密の日記…

「メフィスト」、「メタポゾン」

殊能将之の「ハサミ男の秘密の日記」、公式にも情報が出た。千街晶之氏の発言によれば、メフィスト賞受賞前後のことを綴った文章のようだ。 ※ 「メタポゾン」第十号をようやく入手。これまで書店の文芸誌コーナーに置かれていたのが、なぜか地方・小出版社コ…

続・蓮實重彦のフローベール、「ハサミ男の秘密の日記」

蓮實重彦『『ボヴァリー夫人』論』のアナウンス。「新潮」2014年1月号に序盤が先行掲載、同年春に筑摩書房より刊行、との由。 しかしこう書いた一週間後に続報が出るというのは、なんだか自分が超能力でも使ったかのような気がしてくる(勘違い)。 ※ またま…

年末的

年末だからか、米倉あきら『インテリぶる推理少女とハメたい先生』の話題をTLで見かける。以前、こちらに感想を書いたことがあったので、読み返してみた。あまり上手く書けなかった覚えがあり、削除しようか迷っていたんだけど、思ったより案外、フェアにな…

小島信夫の『ラヴ・レター』、蓮實重彦のフローベール

年末も迫ってきたためかいろいろ慌ただしく、更新の間隔が開き出しているが、ちょっとだけ。 夏葉社から小島信夫の短篇集『ラヴ・レター』が来月刊行されるという。 水声社の『小島信夫批評集成』最終巻に、詳細な年譜が収録されており、以前そこで晩年の短…

殊能将之を再読する/『黒い仏』(1)

どの分野にもいえると思うけれど、ジャンルというものは、人を捕らえ、従属させ、その領域から別の領域へ横断する者を見ると不快感をかき立てる、何か危険な力を備えているらしい。慣れ親しむうちに内面化された規律は、判断の感度を高めるいっぽう、透明な…

あれこれ

風邪でちょっとペースダウンしていたものの、ぼちぼち気になった事柄のメモを復調していきたい。 ※ 後藤明生の電子書籍版選集がスタート。すでに『挾み撃ち』と『吉野太夫』が配信されている。 企画全体の予定は次のblogにある通りらしい。私は紙のほうが好…

殊能将之を再読する/『美濃牛』(6)

Since I Left You 殊能氏はボルヘスが引用に際して行なった操作について、ある発見をしたことがあるという。 ホルヘ・ルイス・ボルヘスの「タデオ・イシドーロ・クルスの生涯」という短編には、イェイツの詩がエピグラフに使われている。記憶で書くので不正…

殊能将之を再読する/『美濃牛』(5)

「夜に耐えられるか?」 美濃牛との出会いの場面は、巧妙に作られている。天瀬は、毒を飲んだ美雄と一緒に洞窟の中へなだれ落ちた。そして美雄の死体がクッションとなって命拾いする。一歩間違えば、自分が死んでいただろう。助けを求めて歩き出すが、しだい…

キニャールの来日

パスカル・キニャールが来週、来日するという。関西でもイベントがあるようだ。 この機会は逃したくないなあ。

Before mercy snow

昨日ご紹介した『Before mercy snow』は今日の文フリで、開場30分も経たないうちに売り切れたらしい。 私は行けなかったので、後日の通信販売を待つ予定だけれど、入手した方の反応を見ているといろいろ待ち遠しい。 ※ ところで今日T「殊能センセーの本名を…

確率的な生

さいとうななめ氏が東浩紀『クリュセの魚』を評して〈偶然〉〈確率的な生〉というキーワードを出されている(2013年11月3日)。 作者の動向は近年あまり熱心に追っていなかったけれど、〈偶然〉とか〈確率的な生〉については、興味がある。『クリュセの魚』…

野崎まど『[映]アムリタ』を読んだ

そろそろ風邪が五日目になろうとしているのに、なかなか治らない。いろいろオジャンになる。 『know』に続き、野崎まど『[映]アムリタ』を布団の中でだらだら読み終わる。。十年以上前、西尾維新『クビシメロマンチスト』などを(o(´∀`)o)ワクワクしながら読んだ…

ユビキタス茶碗

野崎まど初のSF『know』(早川書房、2013)を読んでいるところ。 舞台は2081年の京都だが、現在よりも飛躍的・爆発的に情報量が増えすぎ、人間は脳にという機械の埋め込みが義務化されている。だから携帯電話などのデバイスがなくとも、手ぶらで情報空間につ…

Pさん会

Pさん会で酒に関する詩を読む。 前々から詩に興味はあったけれどもこれまでちゃんと読んでこなかったので、今後いろいろ手にしてみたいと思っているところ。 Mさんに初めてお会いし本をオススメできたのも良かった。 ※ しかしそれは昨日の話で、酒がテーマだ…

44th night

Condor44あらため44th musicの新作『44th album』発売記念ワンマン@渋谷O-nest(2013年10月26日)。 アルバムは新作しては2007年1月の前作ぶり。といっても、iTunesとototoyの配信か、あるいは会場限定のCDでしか入手できないらしい。 9月21日のリリース以来…

ソフトカバー、スマフォ

昨日書いた大江作品のソフトカバーが云々……という話は、今日も探してみたが、結局わからないまま。金井美恵子かと思って昨日から『目白雑録3』『4』『5』『猫の一年』などをひっぱりだして見ているのだけど、どうもないようだ。「KAWADE道の手帖」深沢七…

クロス装

大江健三郎『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』が書店に並んでいたので手にとってみた。本体が1800円とはいえ、カバーを外すと表紙がクロス装金箔押しなので(つまり、昔ながらの造本なので)、驚く(装幀は司修)。確か大江健三郎の小説の近作がソフ…

いいとも、TV、無意識

「笑っていいとも!」が22日、来年3月で終了を発表。 今朝(10月23日)の毎日新聞1面に載っていたいいとも年表を見ると、知らないことばかりで驚いた。 2000年3月1日 タモリさんが「ウキウキWatching」を歌わずに登場するオープニングに変更 2002年4月5日 …

続・連城さんは……

連城三紀彦氏が亡くなられたという(2013年10月19日)。 もう五年ほど経つのか、以前ここに、「国文学 解釈と鑑賞」の「特集・現代作家と宗教 仏教篇」の連城論を読んだとメモしたことがあった(論文の筆者は横井司氏)。 その時の最新刊は、出たばかりの『…

blogをリニューアルします。

開設からもう数度目になりますが、blogをリニューアルします。 具体的にいえば、更新内容を変えます。 もともとこのblogは、学生時代に結成したtpkzというサークルの個人活動版として設置したつもりでした。 しかしなかなかそれぞれの活動が思うようにいかず…

殊能将之を再読する/『美濃牛』(4)

【殊能将之『美濃牛』の展開について触れていますので、未読の方はご注意ください】 ※ 夜の力、昼の力 横溝作品が“暗い”いっぽう、『美濃牛』は“明るい”といわれる。しかし注意して読むならば、金田一ものでも殺人事件の渦中とは思えないほどのんびりした雰…

殊能将之を再読する/『美濃牛』(3)

【殊能将之『美濃牛』の展開について触れていますので、未読の方はご注意ください】 ※ 迷路の中/外へ 前回引用した、「平易な文章」を書く「頭がいい」作者の系譜は、一種の文学論といえるだろう。しかし他方で、「頭がいい」作者については後年、このよう…

殊能将之を再読する/『美濃牛』(2)

【殊能将之『美濃牛』の展開について触れていますので、未読の方はご注意ください】まず前回、だいぶ酷い勘違いを一点書いてしまったのでその訂正を。 前回、『美濃牛』の叙述形式に関して、「三人称・多視点・現在」だと書き、また〈『美濃牛』において、語…

パワーバラード

なぜかたまたま艦これ動画を見ていたら、BGMにPuddle Of Muddの「Blurry」が流れていたので、懐かしくなってしまった(4:45あたり)。 今は疎くなってしまったのでわからないけれど9.11の前後2、3年ほど、パワーバラード系のバンドがビルボードチャートに…

【記録シリーズ13】ノスタルジア

高校生だったころ何度か、初めて読む小説なのに、ある一節で強いデジャ・ヴ感を覚えたことがあった。 なんだか自分の頭の中身がこぼれでたのを再び眼から吸いとるようで、かなり混乱したが、よく考えればなんのことはない、そのちょっと前にラジオで朗読され…

ピーター・ディキンスン『生ける屍』を読んだ

今年六月にちくま文庫から復刊されたピーター・ディキンスン『生ける屍』(神鳥統夫)を読んだ。この小説は、読者によっていろいろなふうに読まれているらしい。たとえばAmazon当該ページのレビュー(2013年8月27日現在は8つ)から言葉を抜き出してみると、…