TBCN

襤褸は着ててもロックンロール

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

意識しないと見えないもの

カーの短篇集『不可能犯罪捜査課』を読んでいたら、三話目に「ホット・マネー」という、ポー「盗まれた手紙」ライクな趣向の話があった。探偵役のマーチ大佐がかなり自信満々なので期待していたものの、日本人にはチト馴染みづらいネタで、いささか期待が外…

「叙述トリック」についてのメモ(5)

「叙述トリック」と語りの構造 物語言説(ナラトロジー)関係の本をいろいろ見ると、作者と読者の関係は、だいたいこういうふうになっている。 作者−内在する作者−語り手−物語−聴き手−内在する読者−読者 もちろん様々な異見がありもっと詳しい場合もあるけれ…

「叙述トリック」についてのメモ(4)

文脈とキャプション 数年前、こういうコピペを見た。 俺、子供んときに近所の子にプロポーズしたことあるけど そのネタで小学校で「あいつが私にwぷぷぷ」って6年馬鹿にされ、 中学校で3年馬鹿にされ、高校でも3年馬鹿にされ 今だに夕食の時に馬鹿にされ…

「叙述トリック」についてのメモ(3)

作者と語り手 だいぶ間が開きました。雨続きですが、皆さんお元気ですか。見通しが立ってきたので、再開することにします。 この前からジョジュツ、ジョジュツといっていたが、そもそも小説にとって「叙述」とは何なのか。迂遠なようだけど、そのへんをこの…

例のエレベーター

ブックデザインにおいて装画と装幀は基本的に分かれている。 そして本というのはこれだけ出ているので、意図的にか偶然にか、別の本で同じ装画、というバッティングも時折ある。 たとえば、『夢野久作全集1』(1992年刊)と竹中労『琉球共和国』(2002年刊…