2011-01-01から1年間の記事一覧
【『離れた家 山沢晴雄傑作集』収録作品の真相について若干触れていますので、未読の方はご注意ください】 (承前) だんだん自分の手に負えなくなってきた気もするが、まとめてみよう。 しかし、前回の「複雑さ」という言い方も大雑把だ。私はそれが、どの…
久々にこの話題に戻ってみた。 ミステリの「ロジック」の周辺について、いわゆる「後期クイーン問題」などとは別の面から考えてみたいと、個人的に思っている。 ミステリの「ロジック」は、ミステリファンのあいだでも、一種のリトマス試験紙のようになって…
【※松尾詩朗『彼は残業だったので』の真相に若干触れていますので、未読の方はご注意ください】 (承前) ・幻想ミステリとして読む 前回紹介した「著者の言葉」に「幻想的な謎」という語があるけれど、ほとんどのミステリはある程度、幻想性を含んでいる。…
【※松尾詩朗『彼は残業だったので』の真相に若干触れていますので、未読の方はご注意ください】 (承前) 引用が続いたついでに、もうひとつ引いておこう。 これは後藤明生が小説論のなかに書いていた言葉ですが、「読んだから書いた」というのが、小説家と…
【※倉阪鬼一郎『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』の真相に若干触れていますので、未読の方はご注意ください】「ロジック」について書きます、と宣言したきりになってしまっているけれど、なかなか進まない(おお、また一か月が過ぎた)。その間に、松尾詩朗『…
恥ずかしい。前回のエントリのことだ。返す返すも未熟な感じがする。しかし今更消去するのも変だし、先に進まないような気もするから、とりあえず残しておこう。 今日は少しいつもの流れを止めて、最近読んだ作品について、思ったことを少し。 ※ 【※倉阪鬼一…
「次回はたぶん、ヴァン・ダインの話です。」 などと思わせぶりなことを書いたけれど、やっぱりそれは準備が整ってからにしようかと思う。で、長くなるかもしれないが、今度はミステリの「ロジック」を読むことについて、つらつらと書きながら自分なりに考え…
また一か月以上空いてしまった。 このところミステリ論や詩論を集めていて、その中で買っていた『ミステリの詩学』という本(鈴木幸夫訳編、研究社、1976)に、まさに前回挙げたウィラード・ハンチントン・ライト(=S.S.ヴァン・ダイン)による「傑作探偵小…
【※殊能将之『鏡の中は日曜日』『樒/榁』、麻耶雄嵩『隻眼の少女』の真相に触れていますので、未読の方はご注意ください】『鏡の中は日曜日』(2001。以下『鏡』と略す)を初めて読んだのは、今から八年くらい前になる。当時私は、「とにかく驚きのあるもの…
なんだか果てしなく明後日の方向へ突き進んでいる気がして放っていたり、パソコンがいかれてリカバリする必要があって放っていたりしているうちに、前回から二ヶ月近くがたってしまった。 そんななか、殊能将之『鏡の中は日曜日』を読んだ。八年ぶりくらいの…
昨日、学生時代の先輩に会ったら、「あれたまに見てるよ、ほら、えーと、何だっけ、立ち読み……」と言われた。 現金なもので、少し嬉しかった。 だから、ええいっと更新してしまおう。 ※ 柄にもなく最近のエントリで(続く)等としているのは、これまでにもブ…
また時間が経ってしまった。 北村薫『ミステリは万華鏡』の記憶も薄れてこないうちに、そろそろ書いてしまいましょう。と思って、前々回のエントリを自分で再読してみたんだけど、なんだか気負い過ぎてるなあ。 そんなに大袈裟なことではないんですが。 ※ さ…
前回の締めに 「というわけで、ミステリについてつらつらと考えたことを、しばらく続けます。」 と書いて2週間、あの直後に地震が起きて、それどころの気分ではなくなってしまった訳だけれど、なんとか次回からとぼとぼと更新する予定です。 ※ 地震のあった…
北村薫のエッセイ『ミステリは万華鏡』(角川文庫版、2010)を読んだ。 面白かった。 ミステリについて、非常に根源的な書だと思った。 ※ 最近、ミステリについてつらつらと考えることが多い。 といっても、実作を読むのは以前に比べ少なくなった。この半年…