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立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

法水金太郎さん

横山茂雄稲生平太郎氏について検索していたら、彼にはバラード『残虐行為博覧会』を、法水金太郎名義で訳した仕事もあった。この名前はやっぱり、小栗虫太郎のシリーズ探偵・法水麟太郎からきているのか? といっても、本になっているのはこの一冊しかないみたいだが。

この本(1980年工作舎版)、巻末にバラードと松岡正剛の対談がついている。ロンドン郊外のバラードの自宅へ、松岡氏が行って話したもの(対談は1977年)。
「バラード 『沈んだ世界』を書いた時に影響されたのだが、大岡昇平という人の『野火』という作品です。イギリスではこれだけが訳されています。日本では知られていますか。
松岡 第一級の作家です。」
とかいった箇所が読んでいて微妙に面白い。
昔のSF作家って、テクノロジーを語るとハッスルするところがあるが、
「バラード 僕が未来の人をちょっぴりうらやましいと思うのは、その頃は家全体がビデオ化して、誰もがビデオ・ライブラリーを持って「過去の系」を眺められるということですね。ことによったら、自分を生んでくれた系の大部分をフォト・ドキュメンテーションによって見られることになるかもしれない。声だって聞くことができる。音の歴史が残るというのは、これまでになかったことだけにエキサイティングです。」
とバラードが語る部分は、未来人たる我々は、うーん、と素直に肯けないところ。ひいき目に見ても、「家全体がビデオ化」ってどういう意味なのか。