立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

七月に読んだもの

読者メーターが億劫になってきたので、さいとうななめさんのブログ「ななめのための」の「摂取記録」というコーナーを勝手にパクって、見たり読んだりしたものに簡単にここでコメントを付していくことにします。
いつまで続くかは保証できません。

詠坂雄二『リロ・グロ・シスタ』
デビュー作にしてKAPPA-ONE最終作。書き出しに惹きつけられて即購入したものの、引き合いに出されることの多い某作に比べると、一人称の文体は詩的ハードボイルド風というよりはやっぱりライトノベル風大仰さを感じる(このことは作者もそう感じていらっしゃるのではないかと推察する)。次作の擬似ノンフィクション小説にはかなり期待が高まっています。

小島信夫・森敦『対談・文学と人生』
古くから互いをよく知る二大作家がざっくばらんに語り尽くす……という趣向だけど、対談には付き物のアイマイなわかりにくい言葉が実はかなり多く含まれていて、リズムを掴むのにだいぶ時間がかか
る。興がのったところを半勃起状態で断ち切るのがやっぱりというかクールというか。最終回の後藤明生をめぐる話も面白い。

岡和田晃向井豊昭の闘争』
向井豊昭という偉大なマイナー作家の全体像を紹介する評伝。私はこの作家はもっと読まれてほしいと思うし、読みたいと思うが、難解に感じるところがあるのもほんとうで、そこへ理解の補助線を引いてくれる。200ページ代前半とコンパクトなので、すぐ読んでしまう。紹介されている作品と一緒に近く再読する予定。
↓有志による作品公開ページ。
http://www.geocities.jp/gensisha/mukaitoyoaki/

蓮實重彦『反=日本語論』
長く積んでいたのを必要に駆られて読了。全体的にかなり読みやすく、「歓待の掟」という章の一節にえらく感動する。

山城むつみ小林秀雄とその戦争の時』
昨年の新潮の小林秀雄没後30年特集に掲載された論考を大幅に改稿し、さらに武田泰淳ひかりごけ』論と森有正『遥かなるノートル・ダム』の解説を付したもの。長い時間をかけて蓄えに蓄えた考察を一息に吐き出したような印象を受ける。デビュー作「小林批評のクリティカル・ポイント」との関連についてあとがきに「全く同じ」で「全く違う」とあるとおり、同作を含む『文学のプログラム』にかつて感銘を受けた読者なら必読だと思う。収録作は発表時に単体で読んでそれぞれ「失語」体験をしたが、本論に続けて『ひかりごけ』が並ぶと、大雑把な俗論を排して微妙なテクストをたどってゆくロジックに興奮する。

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