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襤褸は着ててもロックンロール

アナモルフォシスの冥獣読んだ

刊行から2、3日くらいで読んだのだけれど、ちょっとわかりづらい部分があって、整理しないと、と思いつつなかなか手がつけられない。
とりあえず、途中まであまりの荒唐無稽さに「え?もしかしてミステリーじゃないの?」と思ったのだが、ちゃんと解決があるのは非常に良かった。
これは清涼院流水の『カーニバル』シリーズを読んだ時と全く逆。『カーニバル』では「え、こんなムチャクチャな話で、どうやってオチをつけるんだ」と思って、ワクワクしていたのが、終盤でかなりガックリきた。それ以来、トリックに関して大風呂敷を広げる作品にはあんまり期待しないようにしていたのだが、これはちゃんとやろうとしているから凄い。しかもその大風呂敷なトリックが視覚化されているわけだから、起こっている現象の不可思議感は文章で読むそれの何倍もある。大体、「ドッキリ番組の撮影中に自分が怪獣になったと思い込んだまま死んだ芸人の霊を、死の現場を再現した特撮セットの中に呼び出して行われる密室降霊賞金ゲームの最中に起こる殺人事件……」という設定からして、凝りまくっている。これでワクワクしないわけがない。
ただ、画をパッと見た時のわかりやすさからくる真相のインパクトは、『フラクション』に譲るかなと。
次回はまた一年後でしょうか。楽しかったです。是非。

アナモルフォシスの冥獣

アナモルフォシスの冥獣