立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

浦賀和宏の新作『究極の純愛小説を、君に』を読み終わる。
いやー、結末の受け止め方に迷ってしまいました。この小説は基本的に、高校の文芸部員・八木剛を中心としたスラッシャー小説と、失踪人を探す保険調査員・琴美の捜索小説という二つが前後にくっついてできている(だから長さも二倍ある)。メタフィクションの仕掛けがあるのだけども、途中、「浦賀和宏」という実在の作家の作品をめぐって議論になる。そこで浦賀和宏の小説は暗いから売れない、だからハッピーエンドの小説にすれば売れるのでは……という展開に。「ハッピーエンド」がどういうものかはいろんな意見があると思うけど、少くとも、これまで著者の小説を読んでいると、happyとsadが入り混じった未知の感情を、たとえば「客観的に見たらbadだけど本人の主観的にはhappyだからハッピーエンド」というようなところで鍛えられてきた。なので、今回は確かにハッピーエンドはハッピーエンドだけども、そしてその外側にもう一つ仕掛けも最後の一ページであるのだけども、どうも、「純愛小説」が究極かどうかということと、売れる売れないは違うモノサシなのではないかという疑問があり……。たとえば「これが浦賀和宏の小説です」と示す時に、作中の小説をそのままさしだすのと、昨年の『姫君よ、殺戮の海を渡れ』を比べると、ハッピーエンドの度合いからいっても、後者に軍配が上るのではないだろうか。
もうちょっと落ち着いた頃に考えようかしら。

読書日記はネット書店でも発売日が変更されたようですね。
アマゾン
honto