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立ち読み師たちの街

襤褸は着ててもロックンロール

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十階堂一系『赤村崎葵子の分析はデタラメ』(電撃文庫
TLで評判が良かった作品。高校の「分析部」という独自のグループに所属するヒロインと主人公を軸に、ラブレターの指定場所になぜ誰も来なかったのか/サラリーマン風の男はなぜ一万円も募金したのか/教室から主人公の妹の財布を盗んだのは誰か、などいわゆる日常系の謎について、ヒロインが「分析」と称する推理を披露する。
「分析」をパフォーマティブに披露して状況をメーキングする行動自体は、もちろんロジカルに積み上げるものではないからそれだけではユルユルだけども、いったん場が終わったあとの「裏分析」が特徴的で、一点から裏返すパターンはなかなか面白い。あと本の最後に、登場人物たちの謎ともいえない細部の行動の矛盾に全体を俯瞰していちいちツッコミを入れていくコーナーがある。その数々は最初から予定されていたのか、改稿して矛盾が生じたのか、校正に指摘されて判明したのか、おそらくそのいずれでもあるのだろうけども、テクストの記述をすべて真面目に受け取った上で「分析」という解釈が加えられている。これらは普通、スポットの当たらない伏線であったり、作者のミスと取られたりするものだけど、それら小説の細部を「分析」するにたるものとしてリサイクルした上、読者のいる現実まで注意を促し「日常の謎」そのものを擁護する、というのは、周到なスタンスではないでしょうか。ヒロインが最初から過剰に好意的でそれをあしらう饒舌な主人公、という筆致は甘すぎな感じですが、続編二冊ではそれも減じているようなので、そちらも読んでみたいですね。

赤村崎葵子の分析はデタラメ (電撃文庫)

赤村崎葵子の分析はデタラメ (電撃文庫)


44th musicはもう一年近く活動されていないようですが、どうされてるんでしょう。
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